『違法性判断基準－一定の取引分野における競争の実質的制限』神戸大学名誉教授 根岸 哲氏
「一定の取引分野における競争の実質的制限」は、独禁法上、私的独占、不当な取引制限、企業結合、そして事業者団体の行為に係る最も重要な効果要件であり、独禁法全体を理解する上で最も基本的な要件である。「一定の取引分野における競争の実質的制限」の要件の捉え方は、不公正な取引方法の効果要件である公正競争阻害性の捉え方とも密接・不可分に関連している。このように、「一定の取引分野における競争の実質的制限」の要件をどのように捉えるのかは、独禁法全体の体系的な理解を行う上で欠かすことができない。この問題は、近年、改めて、理論上においても、実務上においても、ホットイシューの１つとなっている。欧米競争法との比較も踏まえた上で検討することとしたい。
