No.131 Rice Cracker Store in Tokyo

No.131 Rice Cracker Store in Tokyo

せんべい屋をやってます

主人と結婚した時からですね
主人がせんべい屋だったもんでいとこが間をとって私に電話かけてよこして
「こういう人のお嫁さんにならないか」「なって」っていうことで
それでせんべい屋なったわけです

結婚した当時からこうして57年もやってるわけですけどね
お店にいっぱいお客さんが見えてくれるのでね
疲れもいっぱい残るんですけど
まぁ楽しく一生懸命お客様に良い商品を作ってお届けするっていうことで
頑張ってきたと思いますけどね

「あぁこれおいしい」「また買いに行こう」っていう
そういう気持ちを持ってもらうとね
私も嬉しく思いますけどね

そうですね
仕事選びに関して悩んだり不安だったなんて時はなかったように思いますよ
私に合ってると思います
幸せになれましたからね

母親がですね
「美容師になりなさい」っていうことで「美容学校さんに行ったら」っていう
声はかけてくれたけども結局は行かなかったんですけどね

他の人が仕事で活躍するのを見て
うーん 自分が惨めに思えたりしたことは全然なかったですね
毎日楽しかったしね

若い頃はとにかく昔のことだからね
経済的にも大変だったから朝起きて寝るまでっていうのは
もう「せんべい せんべい せんべい」のことしか考えられなくてね
本当に1日があっという間に過ぎるような感じで過ごしてきたように思いますよね

まぁ世の中だんだんね
景気も良くよくなる時代だったからね
いろんなお菓子屋さんだとか
ケーキ屋さんだとか色々とできてはきたんでしょうけどまぁまぁ

私もこの仕事のことならね
一から十まで分かるような気もしますけど
まあとにかく一度就いた仕事は辞めないで長く続ければ
私みたいにこうしてなんとかなるんじゃないかと思いますけどね
でも今はいろんな仕事があるからね
どうでしょうかね
よくは分からないけど

そうねぇ
「嫌だ」ってことはいっぱいあるかと思うんですけどもあたし達みたいな古い人間はね
やっぱり我慢して我慢してここまで来たような気もしますし
こういう風に「幸せだな」と思えるようになったんじゃないかと自分で思ってますけど
今の方達はいっぱいいろんな仕事があるからね
「あれもやってみたい」「これもやってみたい」って考えを持つ方も
多いんじゃないかと思いますけど
まぁ我慢をね すれば悪いことは絶対ないですからね

だけど今はね楽しくやってるけど初めからね
この仕事やろうと思ってたわけではないのよね

選ぶのにも皆さん迷うのかもしれないけど
でも今ね やりたいことがわからなくても心配することはないと思いますよ

monologue365 in Tokyo autumn 2020
www.monologue365.jp

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